優しい味わいで毎日に幸せを運ぶ、京都 中村軒の和菓子<後編>

代表銘菓麦代餅(むぎてもち)をはじめ、中村軒には季節を感じる和菓子がずらっと並びます。

京都といえばやはり和菓子の街。お茶会で使う京菓子屋さんや中村軒のように毎日を楽しむような生菓子が中心のおまん屋さんや餅屋さん。

後編では京都から発信する和菓子の魅力について伺いました。お相手は前編に引き続き、専務の中村さんです。

前編はこちら

自分たちのできることを継承し、守っていく

ー京都といえばやはり和菓子の街。京都のお菓子が他の地域と違う点ってどんなところでしょう?

中村:全国的に見て京都のお菓子屋さんの数は多いと思います。他の地域では小さい小売店がどんどん辞めていって、大きいところが安く量産してっていう感じになってきてて。それに比べて、京都は専門的な家族単位でやられてるお店が割と生き残ってる街ではないかなと思っています。

和菓子屋っていうと大まかにはお茶会で使う練り切り、きんとんを作る上菓子(京菓子)屋さん、自分でお茶を入れて楽しむような庶民菓子を作るおまん屋さん、餅屋さん(生菓子や)があります。

細かく別れてる分、それぞれのお店が集中して和菓子が作れるので専門的な技術が上がっていく。

それから、長く続けてるお店っていうのは最高の技術状態で上から下の世代へ伝わって、さらにレベルが上がっていくので研磨された状態で残って伝わっていく。それは京都の特徴なんじゃないかなと思います。

身の丈以上のことをせずに、専門的なことを継承し、守っていってるところが多い。

そういう面ではお客さん自体もそこまでのレベルを求めるので、それに答えようとするお店が残ってる。だから京都のお菓子はレベルが高いんじゃないかなと思います。

その日作ったものをその日のうちに食べてもらう

ー中村軒として、お菓子を通して伝えたいことはありますか?

中村:生菓子屋っていうのはその日作ったものをその日食べるというのが大前提にありますので、あんまりにも販路が広がりすぎるともともとあるべき姿のままできなくなってしまいますので、製造、販売の形がぶれてくる。

それぞれの地域の人が近いお菓子屋さんで大福を買うとか、広げてもともとの味が落ちて、ご近所さんがうちで買ってくれないっていうのが一番悲しいこと。

いかにたくさんの方に食べていただくかというより、地域の人により美味しいと言ってもらえるレベルの高いものを食べていただくっていうことを大事にして作っていきたいなと思っていますね。

伝えたいのは手作業の証

ーこれだけ和菓子屋さんがたくさんあるということは、京都は日常的に和菓子を食べる文化が根付いてるってことですよね?

中村:そうですね、京都はしっかりお茶文化が残ってるのが一つ。お茶用のお菓子は400~500円のものを、自分たちで食べるんであれば、私たちみたいな200~300円のお菓子を買う。お客さんが用途によってお店を選べる土地だなとは思います。

その分伝えたいことをPOPで書いたとしても、京都は書きすぎると叩かれる土地なんです…。

「そんなこと書かんでもわかってもらうのが和菓子屋の商売じゃないの?」とおっしゃるお客様もやっぱり多いので。

なので、食べて美味しかった、じゃあこの豆どこの使ってるんやろ?ってそうなるのがベストかなと思っています。本当は伝えたいことは色々あるんですが…。

ー本当に伝えたいことというのは具体的にはどんなことですか?

中村:一つはあんこをたくおくどさんのこと(前編参照)。あとは、多少なりとも季節で変化があること、買われてからの時間によって固くなったりとかすることもあるということですね。

本当は画一化して、いつ食べても美味しい味、というのがプロの仕事だとは思うんですけど、どうしても手作業が多いということ、それは薬品を入れていない証拠だとか、手作業の証だというのが伝わったらいいなとは思います。

もちろんまずかったらダメだと思うんですけど、柔らかさも完全に一緒で味も全く一緒でというのを前提に作ると今の仕事のスタイルではできなくなるのでね。もっと工場で作って、薬品を入れて…という風になるので、多少のブレは手作業の証と思ってもらえたら嬉しいなとは思いますね。

なくなってしまったものを今の時代で挑戦したい

ーこれからのお店の目標、和菓子業界としての目標を聞かせてください。

中村:勢いがないって言われるかもしれないけど、広げていく、製造量を増やすっていうよりも、今来てくださってるお客さんに対して質を高めるっていうのと、今まで作れなかったお菓子とか新作に対しての開発に時間を使っていきたいですね。

昔は流行ったけど今はもうないようなお菓子をもう一回勉強して、今の人たちが食べて美味しいっていうものを提供できたらいいなと思っています。時代が一巡してると思うんです。一周して古いものが見直されている。

昔はあったのに今なくなってしまったものを今の時代で挑戦したらおもしろいなと思いますね。

和菓子業界としては、そうですね…。今は大手スーパー、コンビニでもそこそこのお菓子を売っていて。正直みんな車持ってて近所のお店で買わなくてもどこでも買えるようになってきていて。

お菓子屋さん同士であれこれいうんではなく、コンビニ、スーパーとのお菓子とどう差別化するか。

自分たちみたいな専門職でやっているところは価格では量産してるところには勝てないんでこっちは違う、というものを作り続けて、発信してわかってもらうのに時間を費やす方が大事だなと思っています。

一個一個の商品に対して楽な方選ぶんじゃなくてよりその商品に付加価値をつけるか。そういう考え方に変えてくれてるお店も増えてきてるかなという実感なんですけど、それが消費者に伝わらないといけない。

和菓子屋さんで買うお菓子はやっぱり違うんやなとお客さんに思ってもらえる日が来たらいいなと思います。

***

中村軒のお菓子を買うために京都へ行くほど大好きな中村軒のお菓子。美味しい秘密はお菓子に込められる丁寧で優しい思い。たっぷりお菓子のことを聞けたとても幸せな時間でした。京都を訪れた際はぜひ中村軒のお菓子を食べてみてください。きっとあなたも魅了されるはず。中村さん、貴重なお話をありがとうございました!

今回出てきた中村軒のお菓子はこちら↓

黒豆大福(京都/中村軒)

椿餅(京都/中村軒)

前編はこちら

優しい味わいで毎日に幸せを運ぶ、京都 中村軒の和菓子

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