お参りの時にありがとうと一緒に添えられる和菓子。
そこにはお菓子の数だけ素敵なストーリーがありました。
普段はなかなか見られないお坊さんの毎日を少しだけのぞいてみましょう。

とてもやさしい目をしている、物腰やわらかなおばあちゃん。

「膝が痛いので椅子ですみません」と申し訳なさそうにぼくに向かって言う。

「いえいえ、お気になさらず」と、お伝えして一緒にお経を読む。 終わった後に出していただいたお茶とお菓子。

パッケージには『熊本城』の文字。どなたかからの、おみやげかな?と思う。

温かいお茶をいただきながら、お話。

今日はお菓子の話をとっかかりに少しつっこんでみると、普段より色んなことを話してくれたおばあちゃん。

家族のことやご近所のこと、冷蔵庫のこと。

ただ、お参りしてさようならと帰るだけでは、知らないことがたくさんあるんだなぁと感じる。

「それではそろそろ…」と言うと、いつもお菓子をきれいな包み紙に巻いてくれて持って帰らせてくれる。

その丁寧な気遣いが嬉しい。 車を駐車場から発進させると、バックミラーごしに杖を突きながらお見送りしてくれていた。

しかも、こちらが見ているか分からないのに、頭まで下げて…。 その姿に申し訳ないなという気持ちと、一種の尊さを感じた。

2018.2.28

 


大江英崇さん

福岡県豊前市賢明寺僧侶&ローカルWebメディア「ぶぜんらいふ。」編集長。