今まで全国各地の和菓子巡りをしてきました。どこも楽しくて、おいしいことはもちろん、歴史や文化に触れられるのがとても楽しくて、この魅力は伝えなければ!と新しいコンテンツ全国和菓子旅として発信することにしました。

画像デザインはいつもお世話になってるまなてぃ(@ddw_designer )にかいてもらいましたっ!いつもかわいいのをありがとう♡

大阪・堺へ和菓子旅にやってきたのは真夏の8月。堺といえば古墳群が世界遺産に選ばれ、盛り上がっている街です。他にも刃物や自転車など産業も盛んです。

「堺」という名前は平安時代から使われているようで、摂津国、河内国、和泉国の「境(さかい)」に発展した、というのが由来だとか。

そんな堺は茶人、千利休の出身地。伝統産業の一つに”和菓子”が取り上げられるほど、和菓子が栄えた街なのです。

そんなわけで堺の和菓子巡りスタートです!

1軒目 河合堂

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まず1軒目に訪れたのが河合堂。お店のご夫婦と常連さんと思われるおじいちゃん。

ゆったりとした時間が流れています。

うちわであおぎながら、「冷たいお菓子もあるからね〜」とまだ準備の整っていない冷蔵庫を指すおじいちゃん。

夏って感じののんびり感がたまらない。

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どら焼き、きんつば、おいもさんなど手に取りやすいおやつがたくさん並ぶ中、「堺灯台もなか」というもなかを発見。

堺の灯台は明治10年に建築され、現存する日本最古の木造洋式灯台として国指定史跡されています。街のシンボルがモチーフになったお菓子に弱い私は早速購入。

この時はまだこのもなかにまた出会うとは知る由もなく…

1軒目はもなかだけ購入し、2軒目へ向かいます!

堺灯台もなか(大阪/河合堂)

2軒目 丸市菓子舗

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「なにこの建物最高だ…」

暑さで若干意識が朦朧とする中、次に伺ったのは丸市菓子舗さん。

青いタイル、木製のガラス戸。建物に特別詳しいわけではないけれど、こう行った趣ある建物を見るのも和菓子巡りの醍醐味です。

明治28年に創業した丸市菓子舗は千利休にちなんだ銘菓を販売しています。

中でも名物は、千利休が愛したお茶碗をモチーフにした「斗々屋茶碗」というお饅頭。

実際のお茶碗と同じサイズになっていてかなり大きい…!

中にはつぶあんとゆずあんの2種類が入っているエンターテイメント性の高いお饅頭です。

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直系で20cmを超えるこのお饅頭、さすがに自分用には…と思ったのですが、小さいサイズのお饅頭も発見!小さいサイズはこしあん、ゆずあん、つぶあん+ゆずあんの3種類から選べます。

今回はこしあん、ゆずあんそして、堺名物のくるみ餅を購入しました。

「写真撮っていいですか?」と聞くと「ショーケースから出したほうがいいでしょー?」と女性の店員さん。

「こんなことなら綺麗なものに交換すればよかった〜」なんて言いながら綺麗な上生菓子を見せていただきました。

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斗々屋饅頭(大阪/丸市菓子舗)

3軒目 芥子餅 本家 小嶋

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さて、次に訪れたのは本家小嶋。堺には芥子餅を販売するお店が2軒あり、一つは百貨店でも購入できる小島屋さん。

そしてもう一つがこちら、本家の小嶋屋さんです。

1532年に創業したこちらのお店は南蛮貿易により栄えた堺で外国から入ってきた芥子の実を使って芥子餅を作り、千利休に愛されたことで広く有名になりました。

あらゆるところに千利休が潜んでいてたまらない…

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扉を開けると外のシンプルさからは想像できない世界が。昔ながらの看板、表彰状、そしてガラスケースにはお目当の芥子餅が並びます。

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写真の「翁」と「安平」を食べるの楽しみにしてたのだけど、前日予約…リサーチ不足でした…悔しい。

にしても下の記事で書きましたが、この芥子餅とニッキ餅、信じられないほどおいしかったんですよ…。

なんかもう芥子の実の香り、プチプチ食感、濃厚でまろやかなこしあん…それが柔らかいお餅に包まれたらそりゃもう大変です、最高の和菓子。

芥子餅、ニッキはそれぞれ140円。

1つずつから買うことができるなので敷居の高さを感じずにふらっと行ってみてください。ほんとにおいしいからぜひ食べて欲しい!

芥子餅(大阪/本家小嶋)

ニッキ(大阪/本家小嶋)

小休憩 さかい利晶の杜

暑かったので涼みに”さかい利晶の杜”へ。5年前、千利休の旅で来た時はちょうど建設中だったので、時が経つのは早いなぁ、と早速建物へ。

中に入ると古地図が床一面に描かれていて、ボランティアの方が堺の歴史を教えてくれます。

中でも印象深かったのが、路面電車の走る通りの名前の由来。

“フェニックス通り”と名付けられた通りには名前の通りたくさんのフェニックスが植わっています。なぜフェニックスかを聞くと、堺は今まで3度街が焼けてしまった歴史のあるまち。

何度でも復活するように、と不死鳥を意味するフェニックスが植えられたそうです。

そんな歴史もあってか、堺には神社やお祭りなどが多く残されていて、人々が祈りを捧げていたのがわかります。

今回はあまり時間がありませんでしたが、千利休の歴史や茶の湯の体験もできるようなのでまたぜひ行ってみたいと思います。

ちなみに和菓子洋菓子含め、古墳にゆかりのあるお土産物がたくさんありました!和菓子屋さんに直接行く時間がないって方はまずここを覗くのもおすすめ。

http://www.sakai-rishonomori.com/

4軒目 大寺餅河合堂 本店

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さて、次にやってきたのは、こちらも長い歴史のあるお店、大寺餅河合堂 本店。お店の名前にも入っている「大寺餅」を食べにやってきました。

1596年、通称「大寺さん」と呼ばれる開口神社の境内にて創業し、参拝客にあんころ餅やきなこ餅などを販売してきたお店です。堺出身の与謝野晶子さんも幼少の頃の食べた味なんだそう。

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「写真撮っていいですか?」と聞くと、「あらまー!商品が全然ないからちょっと待ってね!」ってわざわざ並べてくださりました…嬉しい◎

絶対だめ!っていうところも、撮られたことないからどうしよう…?

みたいな不安げなお店も全国いろんな対応があるけど、堺はお菓子の写真写りを気にしてくれるお店が多くてとても嬉しい街です。

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ちなみにこちらでも「堺灯台もなか」を発見!大寺餅と同じでねっとりとした甘味のあるあんこが入っていました。お店によってあんこが全然違って楽しい!

大寺餅(大阪/大寺餅河合堂 本店)

堺灯台もなか(大阪/大寺餅河合堂)

お昼休憩 銀シャリ屋 ゲコ亭

お昼休憩は食べログTOP5000に入っている銀シャリ屋 ゲコ亭へ。

ご飯(お米)がおいしい!と評判で、ZOJIRUSHIが高級炊飯器を開発する時に、ゲコ亭の飯炊き仙人のご飯の炊き方を研究したと言われるほど。

おかずはセルフでとって自分で定食を作るスタイル。分厚いだし巻き卵、大きなサバ、初めて食べた大阪のモツ煮(白味噌でモツが和えてある)が格別においしかった…。

一緒に周った方とシェアして食べました。豚汁100円でこのボリューム!!!ちなみにご飯もおかわり自由。

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めちゃくちゃおいしくて元気いっぱいになったお昼ご飯でした。気になるおかずがまだまだたくさんあったのでまた行きたいお店、オススメ!

5軒目 天神もち

さて、ご飯を食べて元気いっぱいになったので午後の部スタート!

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続いてやってきたのは天神餅。元々は菅原神社の門前近くで餅屋として1952年に創業したお店。創業当時から続く「天神餅」が銘菓となっています。

「天神様」といえば、菅原道眞公のこと。福岡・太宰府天満宮では梅が枝餅、京都北野天満宮では粟餅や長五郎餅など、菅原道眞公が祀られる神社は和菓子が派生していることが多いのも特徴です。

天神餅の店舗は今回周った中では規模も大きく新しい感じ。お菓子の種類も豊富で、世界遺産になった古墳をイメージしたお菓子も並んでいました。ここのお店でも「堺灯台もなか」を発見したので購入しました!3つの中では一番好みのあんこでした。

天神餅(大阪/天神餅)

堺灯台もなか(大阪/天神餅)

6軒目 八百源来弘堂

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趣ある建物にそそられる…と思いつつ次々にお客さんがやってきて写真を撮るのも一苦労。

6軒目にやってきたのはまたまた素敵な趣の八百源来弘堂さん。

お店に近づくにつれ、シナモンの香りが漂ってきます。そう、このお店の名物は「肉桂餅」なんです。

商品の数も少なく、肉桂餅以外には肉桂の入ったカステラや季節ものの水羊羹があるくらい。

一つだけ購入したのに可愛い袋に入れていただき、なんだか申し訳ない気分に。

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ふと隣を見ると、地元のおばあちゃんが「二つくださいな」なんておやつ用に買っていて、申し訳なさも消え、お菓子文化が根付いている素敵な街だなと実感しました。

肉桂餅(大阪/八百源来弘堂)

7軒目 曽呂利 本店

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5年前にここきたぞ!と前来た時は何を買ったんだっけ?そんなことを考えながらたどり着いた7軒目。曽呂利(そろり)という変わったお店の名前は豊臣秀吉に御伽衆として仕えたといわれる人物からきています。早速店内へ〜!

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曽呂利の銘菓「大鏡」は和泉・河内の上古時代をしのび、八咫鏡(やたのかがみ)をかたちどったお菓子。あっさりした白あんがおいしいよ!

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狂言”狐釣り”で名高い堺市少林寺の白蔵主稲荷にちなんだ銘菓「白蔵主」。古代の日本で作られていた乳製品である蘇をモチーフにしたチーズ饅頭「」。珍しいネーミングについつい目を奪われてしまいます…

大鏡(大阪/曽呂利)

白蔵主(大阪/曽呂利)

呂宋(大阪/曽呂利)

蘇(大阪/曽呂利)

お菓子の名前も歴史に由来するものが多く、歴史好きにはたまらないお店です!さて、ここで堺の和菓子巡りはおしまい。電車に乗って住吉大社へ向かいました。

8軒目 住吉菓庵 喜久寿

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以前大阪に来た時に「おいしいから食べて!」といただいた、喜久寿さんのどら焼き。フワッフワで、しっとりしていて、あんこがなめらかで…近くに来た時は絶対に本店に行きたい!と思っていたのが今回実現しました。

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どら焼きはもちろんのこと。上生菓子や季節のお菓子(葛饅頭や水まんじゅう)もあり、とても楽しいお店でした。帰りはもちろん大好きなどら焼きを購入して次に向かいます。

どら焼き(大阪/喜久寿)

住吉詣(大阪/喜久寿)

赤まえだれ(大阪/喜久寿)

9軒目 末廣堂

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最後に訪れたのはさつま焼で有名な末廣堂さん。

実は以前奈良の春日庵というお店でさつま焼という同じようなお菓子を食べたことがあり、大阪でも食べれるの?と、気になっていたお店です。

調べてみると、奈良の春日庵さんはこの末廣堂さんの暖簾分けだそう。

明治初年に創業した末廣堂さんは、当時名物だったさつまいもを住吉大社の門前で配っていたことに由来し、さつまいもをモチーフに作られたんだとか。

2つのお店で大きく異なるのが生地の厚さ。

春日庵さんはカリッカリの生地薄めなのに対し、末廣堂さんはふっかふかの生地厚め。そしてさつまいも餡があるのも特徴です。

個人的にはこちらの末廣堂さんのもの、めちゃくちゃ好みでした!!

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歴史ありそうな資料や写真が置いてあってとても趣深い店内でした!

さつま焼(大阪/末廣堂)

まとめ

5年ぶりに行った堺は世界遺産に登録されたり、肌感覚として盛り上がっている感じでした。

フェニックス通りの由来や道幅が広いこと、「あれ?」という疑問を解決していくことでその町の歴史に結びつく感じがたまらなく楽しい和菓子旅となりました。

また、これだけ有名どころの和菓子屋が徒歩圏内に密集した街ってなかなかないので、なんでここまで栄えたかをもう少し深く研究したいところ。

今回の和菓子MAPはこんな感じです。本当に今の時期は暑いので熱中症に気をつけて…!
お菓子も傷みやすいので最小限がオススメです!

#大阪和菓子旅 で当日の様子もチェックしてみてね🌼