
小さい頃から大好きな和菓子があります。それは佐賀県の名物「白玉饅頭」です。白玉饅頭はもちもちのお餅の生地に、なめらかなこしあんを包んだシンプルなお菓子。子どもの頃の私にとって、白玉饅頭は「車で出かけたときに高速道路のサービスエリアで買ってもらえる特別なお菓子」でした。
そんな白玉饅頭、3つのお店で作られており、意外にも歴史が古いことが判明!というわけで、今回は白玉饅頭について紐解いていきたいと思います。
白玉饅頭とは

白玉饅頭は佐賀の川上に伝わるお菓子。うるち米の米粉を蒸した後、あんこを包んでもう一度蒸して作られる生菓子です。賞味期限はなんと当日中。その新鮮さから「和菓子のお刺身」とも呼ばれています。
元祖吉野屋のHPによると、明治15年に佐賀市で材木業を営んでいた初代の吉村清兵衛さんが、避暑地としてにぎわっていた川上峡名物として、白玉饅頭を売り出したのだそう。
白玉饅頭は400年前からお祭りやお祝い事用として地元に伝わるお饅頭。その由来は神功皇后の妹、與止日女(よどひめ)が川上神社に参られた際に献上された離菓子で「この様に白く玉のような子供を授かりたいものだ」と言われたことから、白玉饅頭と名付けられた、と伝わっているそうです。
名前はもちろんのこと、あまりにももちもちで、てっきり白玉粉を使っていると思っていましたが、白玉の意味は「白玉粉」ではなかったわけです。
白玉饅頭が食べられるお店
そんな白玉饅頭は現在3軒のお店で販売されています。
・池の家
・本家ときわ家
・元祖𠮷野家
というわけで食べ比べてみました。
1.池の家

昔から食べ慣れた白玉饅頭と言ったらこちらの池の家のもの!高速道路のサービスエリアではこのお店のものしかなかったのに、そのほかで買おうとするとオンラインショップはないし、意外にも購入するのが難しいお店です。
池の家の白玉饅頭の特徴は何と言っても白く輝くモッチモチの生地!!!

あんこもたっぷり入っています。
https://www.instagram.com/honnkeikenoya/
ちなみに池の家は白玉饅頭だけでなく、あんどーなつや生丸ぼうろなど他のお菓子もおいしいのでおすすめです。
2.本家ときわ家

本家ときわ家の白玉饅頭はむぎゅっと団子っぽいのが特徴で、少し塩気があります。中に入っているあんこは薄紫のなめらかなこしあん。池の家と比べると力強い印象の白玉饅頭です。
3.元祖吉野屋

最後は元祖吉野屋。明治15年に創業したお店です。半分に割ったところをもう少し綺麗に撮れればよかったのですが、なんせ柔らかすぎて半分に切るのが本当に難しい!手で持ってかぶりつくのがおすすめです。
中国と韓国、両方の影響を受けて誕生した「白玉饅頭」
白玉饅頭の原料は米粉。一般的に柏餅やお団子などにつくわれている米粉がこんなにぷるぷる、もちもちしているのはとても不思議に思っていました。
そこで、調べてみると、このお菓子は中国、韓国両方の影響を受けている、ということにいきつきました。なんてグローバルな和菓子なんでしょう!詳しく見ていきましょう。
1.ルーツは中国の紹興団子
古くからこの辺りは中国との交流があり、白玉饅頭のルーツは中国のお菓子、紹興団子(しょうこうだんご)とも考えられている、と「肥前の菓子」という本に出てきたので調べてみたのですが、紹興団子というものがヒットしませんでした。
・米文化が古くから栄えた中国揚子江南部では家庭料理として親しまれている。
・スープの中にごま餡の団子が入っている
紹興団子の情報を見ると台湾の「芝麻湯圓」にも似ているようです。
紹興団子で検索した時に出てきた「青団(チントゥアン)」というものがあって、こちらは「中国くいしんぼう辞典」にも出てきたので少し紹介したいと思います。
「青団」はいわゆる草餅のことで、米粉によもぎを入れた生地のお団子。江南という地域でのみ清明節の時にだけ食べられる食べ物なんだそうです。団の中身は餡子だけでなく、おかず系が入っていたりとさまざま。大きさも大福ほどのサイズです。スープには入っていないので紹興団子とは違うようですが、江南は米文化が栄えた地域とのこと、いろいろな餅文化がありそうなので別の機会に深ぼってみたいです。
2.韓国の餅は米粉由来
もう一つのルーツとされているのが、韓国のソンピョンというお餅。ソンピョンは韓国のチュソク(一番重要な年中最大の祝日で、時期は日本のお月見、日本でいうお盆のような存在)に食べられるお餅のこと。
ソンピョンは漢字で松餅と書き、お餅を蒸すときに松の葉と一緒に蒸すことからその名前がつきました。
韓国では餅というと餅米ではなく米粉のことを指します。そのため、韓国のお餅は日本のいわゆるびよーんと伸びるお餅ではなく弾力はあるがムギュッとした食感が印象的です。

サイズ的にはこちらのお餅の方が白玉饅頭と同じサイズ感と見た目をしています。中国、韓国と見比べてみると、紹興団子(スープにはいった胡麻あん団子?)よりも、韓国のソンピョンの方が白玉饅頭に近いような気がします。
元々佐賀は朝鮮との玄関口であったことに加え、豊臣秀吉が朝鮮出兵のために佐賀に名護屋城を築き、多くの武将が韓国へと渡ったことも重なり、佐賀を中心に九州では日本と韓国がそれぞれお菓子の影響を受け合いながら発達してきました。けいらんのように秀吉にまつわる逸話が残されていたり、松露饅頭が韓国にわたり「ホドゥクァジャ」というお菓子が誕生したりと、ここでは語りきれない日韓のお菓子のエピソードがまだまだあります。
まとめ
小さい頃から大好きだった白玉饅頭。今回ちゃんと歴史を調べ、ルーツを知ったおかけで、なぜこんなにも韓国のお菓子に興味が湧くのかをなんとなくわかった気がします。中国や韓国の餅文化と見比べてみると、白玉饅頭が単なる地域菓子ではなく、東アジアの食文化の中で育まれてきたお菓子であることが見えてきます。馴染みのあるものを大事に思う気持ちが世界を広げてくれるきっかけになるんだな、とまたお菓子に新たな発見をもらった気がします。今度久しぶりに白玉饅頭を食べに行ってこようと思います!
